私たちの研究室では、地域らしさを活かした暮らしの場の創出を目指し、調査や研究、またデザイン提案や実践に取り組んでいます。調査・研究では、これからの地域のありかたを考えるためにまちや集落が持つ「地域固有の価値であるローカルな知恵」の解明や、新しい公共空間のありかたや空間デザイン手法の開発に取り組んでいます。またデザイン提案・実践では、調査・研究の成果に加え、空間デザインや土木デザインといった「グローバルな知識や技術」も用い、設計コンペや教員がかかわるプロジェクトなどを通じて、これからの地域のあり方の提案に取り組んでいます。
駅前広場や街路、水辺や橋などの公共空間のデザインは、建築の分野が担っているイメージがありますが、じつは土木分野の担当です。いま世界中で公共空間を核とした都市再生のプロジェクトが進められています。場所の魅力を引き出し、“人が主役”の地域・都市デザインに必要な研究と実際のデザイン提案に、学生たちと取り組んでいます。
古くから存在する町や集落には、長い暮らしのなかでつくりあげてきた、その場所に適した「かたち」が存在しています。災害に強いかたち、みんなで助け合うためのかたち、そこには未来のまちづくりを考えるための知恵や工夫がたくさん存在しています。具体的なまちや集落を対象に、フィールド調査やヒアリング調査、昔の地図や地名などの文献調査を通じて、その秘密を明らかにする研究に取り組んでいます。
たとえば、洪水に強く魅力的な水辺空間、みんなが気軽に立ち寄る公民館や小学校、隣接する民間企業が運営する小さな公園など、今は存在しないけれど、こんな空間があったら地域の魅力がぐんと高まるアイディアの実現に向けて、デザイン事例の調査・研究や、利用実態やヒアリング調査などに取り組んでいます。
まちづくりの講義や調査・研究で得られた知識と、設計演習やフィールド演習などで得られた技術を統合し、具体的な地域におけるデザイン提案に取り組んでいます。とくに研究室が設立された2007年から毎年応募している土木デザイン設計競技「景観開花。」では、これまで最優秀賞1回、優秀賞2回(うち1回は他大との合同チーム)、佳作5回、鹿島建設賞1回、東京建設コンサルタント賞1回を受賞しています。また、教員が関わっている実際のプロジェクトに参加してもらうこともあります。
景観開花。研究室では、優れたまちづくり事例や公共空間・土木構造物の設計事例などの視察を行う、2泊3日のゼミ旅行を毎年実施しています。また、ゼミでは、論文ゼミの他に、計画や設計の知識や技術を高めるための活動や、OB・OGも交えた親睦会を定期的に開催しています。
また学外の活動として、毎年、土木学会景観・デザイン研究発表会での学会発表や、東京工業大学斎藤研究室や法政大学福井研究室など同じ分野を志す他大学との合同ゼミを実施しています。そのほか、設計事務所や建設コンサルタントでのインターンシップやアルバイト、設計ワークショップやシンポジウムへの参加などにも取り組んでおり、積極的に学びたい学生は、より広い視野と人のつながりをつくることができます。
国士舘大学理工学部まちづくり学系は、土木工学をベースとし、空間デザインの知識と技術を身につけることができる全国でも数少ない学系です。
実務経験の豊富な教員による実践的な教育も特徴で、都市デザインや公共空間デザイン、防災まちづくりや構造物の維持管理など、これからのまちづくりに必要な知識と技術を学ぶことができます。
各教員が関わるプロジェクトに参加することで、在学中から実際のまちづくりに関わり、実践力を身につけることができます。