西村研究室(都市デザイン研究室)が設計・施工した「浅草雷門通りパーケード」が、公益財団法人日本デザイン振興会の主催の「グッドデザイン賞2024」を受賞しました。
■ 概要
理工学部まちづくり学系西村研究室(都市デザイン研究室)は、台東区からの依頼を受け、3月7日から13日にかけて浅草・雷門通りで、車道の一部を歩行者のための空間に転用し、来街者の憩いの場として活用する「パークレット」の社会実験を実施しました。西村研究室ではデザインを担当し、学生ら20人が、商店街のアーケードや街並みと一体となった「パーケード」をDIYで設計・施工しました。
■ 取組の背景
コロナ禍が明けてインバウンドの影響で来街者が急増する浅草の街では、歩道の混雑や休憩場所の不足が深刻な問題となっています。特に、観光客が集中する浅草寺雷門前の通りでは、歩行者通行量に対する歩行空間の不足が著しい一方、自動車交通量がそれほど多くないことから、道路空間の配分を適正化することが求められていました。
■ デザインの特徴
商店街のアーケードや雷門周辺の街並みと一体となるよう、木材をベースに垂木がリズミカルに並ぶ洗練された木質空間を提供するとともに、地元の職人さんともコラボレーションしたオリジナルデザインの提灯や暖簾・日除けで憩いの空間を演出しました。
■ 実験の成果
1週間の実験期間を通じて、観光客から地元の皆様まで幅広い方々から休憩や飲食・交流の場として利用されました。目の前を人力車が行き交うカウンター席では、ハイチェアに腰をかけて街並みを眺めながらの会話や飲食を楽しむ姿が多く見られました。また、長ベンチではまち歩きの途中に一息つく観光客の姿が多く見られたほか、芝生スペースでは親子連れが楽しそうに遊ぶ姿が見られました。
■ 審査員のコメント
近年日本でもパークレットによる社会実験が行われるようになったが、「浅草雷門通りパーケード」はしっかり車道に緩衝させることで、広い面積をとれるだけでなく、恒常的な都市計画にも意義ある調査となっている。道路は行政だけでなく企業や地域住民、さまざまな立場から異なる存在意義を持たれるが、大学が中間組織的に共通項をつなぎ、かたちに落とし込むオーガナイザーとしての立ち回りも、仕組みのデザインとして秀逸だ。単に立場や制度を超えるだけでなく、地域性を鑑みた風景として設計された点も、類似の社会実験とは異なる事例となっている。
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国士舘大学理工学部まちづくり学系は、土木工学をベースとし、空間デザインの知識と技術を身につけることができる全国でも数少ない学系です。
実務経験の豊富な教員による実践的な教育も特徴で、都市デザインや公共空間デザイン、防災まちづくりや構造物の維持管理など、これからのまちづくりに必要な知識と技術を学ぶことができます。
各教員が関わるプロジェクトに参加することで、在学中から実際のまちづくりに関わり、実践力を身につけることができます。